潜伏キリシタンの村に残る禅寺天福寺
どんな伝承か
長崎県外海村東樫山部落(現長崎市)は全戸が潜伏キリシタンで仏教徒が一戸もないにもかかわらず、禅宗の小寺・天福寺がある。近年この部落でカトリックへの復帰が議論されたが、他宗への献金を禁じるカトリックの掟が天福寺の経済難への同情と衝突し、復帰への踏み切りを躊躇させているという、潜伏キリシタンと仏教の複雑な関係を示す話である。
原典より
最近この部落こぞってカトリックに復帰の議が出たが、カトリック教は他宗への献金を禁ずるので、天福寺の経済難に同情する潜伏キリシタンの声が、復帰への踏み切りを躊躇させている。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。