万事を司る潜伏信徒の御支配方
どんな伝承か
十八世紀の末ごろから、外海のキリシタンの一部が五島へ渡り、先住の人びとが見向きもしなかった痩せた土地に住みついた。親仲間から遠く離れたにもかかわらず、彼らは島の仏教や神道に移ることなく、信仰の求めをキリシタンの流儀で満たし続けた。雨や風といった自然の動き、病気や生業、旅、出産などの人の営み、年忌や初穂や盆といった先祖の祭、さらに三夜待ちや四つ身の祝い、六十一の祝いといった土地の習俗まで、それぞれに御支配方が定められ、キリストや天使、聖人の名があてられている。祈りも供え物も、この御支配方を通してささげられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。