十字架をお槍と呼ぶ旧三月の行列
どんな伝承か
生月のかくれキリシタンは、正月を祝いたいという気持ちを教会の暦の中に収めきれず、旧正月を四旬節に入る前に移して祝宴を張った。旧三月三日はお花見と呼び、行列を組んで練り歩く。このとき十字架をお槍と称して捧げ持つのが習わしである。集まりには必ず飲食が伴い、年に数度の大きな祭日には、節をつけてラテン語を唱える歌オラショが行なわれる。その後は俗謡を歌ったり太鼓を叩いたりしてもかまわないことになっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。