巡礼の幻とキリストの姿の三度目
どんな伝承か
毛利孝一さんは三度目に脳卒中で倒れ、救急車で運ばれて検査に回されるうちに意識がかすみ、幻の世界に入った。白装束のお遍路になって皆と歩き、曲がり角ごとのロウソクを拝む。病室に戻ると百畳ほどの広間に変わっていて、病院の職員らしい人々が黙って会食しており、自分も加わった。一人また一人と姿が消えて灯りも落ち、自分の席だけが照らされて孤独に包まれたとき、天井から組んだ角材が降りてきて押しつぶされ、気づくと十字架を負わされたキリストの姿になっていた。後でそれは自宅の画集にあるホルバインの版画と同じ構図だと気づいた。前二回の安らぎはなく寒さと淋しさが残り、本人は病衣一枚の寒さのせいとみている。
原典より
ふと見ると、自分がキリストの姿になっているんです。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。