狐を遣い讃岐へ流された医師高天
どんな伝承か
中原康富の日記には、応永二十七年十月九日、室町殿(将軍家)に仕える医師の高天が狐を使ったとして、讃岐へ流されたことが記されているという。著者は、その狐を使って人を呪ったのだろうと見ている。狐を使う術は古くからあったらしく、この記録はその早い例として挙げられている。同じ段で著者は、奥州はなしに清安寺の和尚が狐を使って芝居の様子を見せた話があること、古今百物語評判に狐使いを見破る方法が書かれていることにも触れている。
原典より
中原康富記には、應永廿七年十月九日甲辰室町殿醫師高天が狐を遣ったといふので、讃岐に流されたことがしるしてある。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。