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借家に夜ごと来た古狸を斬る

所在地東京都港区(榎坂)
年代寛永十一年正月十五日
登場戸田流兵法達人、富永金左衛門
出典動物妖怪譚

どんな伝承か

戸田流兵法の達人と称された浪人、富永金左衛門は、江戸の西久保榎坂の上に借家住まいをしていた。この家には夜ごと何かが訪れて怪しい振る舞いをする。人ではあるまい、狐狸のしわざだろうと見当をつけた金左衛門は、寛永十一年正月十五日の夜、寝床に人が寝ているように見せかけ、自分は部屋の隅で待った。明け方近く、戸の開く音もなく入ってきたものは、両眼が星のように光り、形も定かでない凄まじい姿だった。寝姿の上を跳ね回るところを斬りつけ、深手を負って逃げるのを追い、二の太刀で仕留めた。灯りをかざすと年経た古狸である。家主は、この狸のせいで誰も二か月と住めなかったと喜んだ。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))

『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など日本の伝説に現れる動物を取り上げ、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどる。序論で起原・歴史的変遷・分類を論じたのち二十六の項目を立て、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。

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