葬列が門前を通れない普賢の寺
どんな伝承か
南朝の皇子が逃れた地として知られる奈良県吉野郡賀名生村の黒淵には、丹生川の深い渓谷に寿命山常覚寺という寺がある。葬式や法事と完全に縁を切っているわけではないが、やはり葬式を嫌う寺で、葬列が寺の門前を通ることさえ禁じられている。延命寺や普賢寺の別名を持ち、普賢菩薩を祭り、かつては七堂伽藍を備えた大寺だったという。僧は葬式に関わりはするが、以前はそのあと三日間本尊に触れなかった。近ごろは風呂に入ればすぐ本尊の務めをするように変わっている。
原典より
中部地方の祖霊祭地 社会と伝承二―二 4月葬祭* 郷土研究講座五(角川書店) 5月社会と民俗―はじめに 日本民俗学大系三(平凡社) 6月村の組織と階層 日本民俗学大系三(平凡社) 6月民俗学に寄与した人々―守随一君 日本…—— 霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。