堀川のカラウメと火車の伝説
どんな伝承か
著者が千葉県内を歩いていた頃、八日市場に近い横須賀の長徳寺で住職から聞いたのは、当時の栄村堀川では葬式より先に遺骸を埋め、空の棺を据えて式を営む、これをカラウメと呼ぶという話だった。のちに堀川を訪ねると、この風は近年まで続いていた。四十年ほど前に嫁いできた老婦人によれば、二人が棺をかつぎ、近親と僧だけで墓地へ埋めに行き、そのあと家へ戻って盛大な葬儀を営む。会葬者は大勢待ち、近しい者と僧は屋内で、ほかは廊下で焼香したという。老婦人はこれをカラダメと呼んだ。土地では、ある旧家の葬儀の最中に空がかき曇って疾風が起こり、火車が棺の遺体をさらったという伝説を由来に説くため、これを語りたがらない人もいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。