賊に殺された甲州商人の呪いのたねわれ梅
どんな伝承か
匝瑳市飯高の話。昔は甲州から甲斐絹を商う人が毎年やって来た。ある年、帰りを急ぐ商人が宿で一番鶏が鳴いたら起こしてくれと頼んで寝た。主人は鶏の声で起こしたが、それは宵鳴きで、外はまだ真っ暗な夜中だった。そのため商人は花輪峠で賊に襲われて殺され、売上金も奪われてしまう。村人は哀れんで殺された場所に梅を植えた。この梅は実をつけたが種は必ず二つに割れていたので、人々は商人の呪いがこもっていると恐れた。木は明治の末頃に枯れたという。商人を泊めた宿は没落して一家は行方知れずとなり、時刻を間違えた主人が商人に呪われたのだと語り伝えられている。
原典より
昔は甲州から甲斐絹の商人が毎年来ていた。—— 房総の伝説(平野馨) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の伝説(平野馨)
『房総の伝説』は、平野馨が安房・上総・下総の旧三国、ほぼ今の千葉県に伝わる伝説を選んで編んだ資料集である。ホトトギスやワラビの由来、片葉の芦や頼朝の箸の杉、弘法の井戸、将門や八幡太郎の話、坂戸神社の人身御供、証誠寺の狸など、動植物・石・池・地名・家・祭りにまつわる伝説を市町村名を添えて記す。はしがきに示す自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三部に分け、解説や論評を加えずに書き連ね、似た話のある土地も併せて挙げる。