空のみこしを寺へ送った浜のカラダメ
どんな伝承か
旧野栄町堀川の南南東二キロほど、九十九里浜沿いに堀川浜という集落がある。漁業を営む人が多く、堀川から移り住んだと伝える。著者は九十九里浜の調査のついでにここを訪ね、カラダメという葬法があったことを確かめた。人々の話では、かつては遺骸を集落の少し北の田の中にある墓地へ埋めたあと、寺から借りてきた空のみこしを担いで東堀川の延命寺へ送ったという。カラダメのいわれとして火車の出現が語られるが、どこの家の話とも決まっておらず、漁師上がりの人たちはあけすけに話してくれた。ただ火葬が広まる前にこの風はすたれ、実際に経験した人には会えなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。