源法寺に並ぶ宇田川家の男墓
どんな伝承か
江戸川区東小松川二丁目の源法寺は、宇田川家にとっては男の寺にあたる。その墓地の真ん中の奥まったところに、同家の男墓がずらりと並ぶ。墓石は全部で二十四基を数え、古いものは寛永十年に始まり、新しいものは昭和十八年まで下る。おもしろいことに、昭和十七、八年の分は女性のもので、うち一基は当主の先夫人のものだという。さらに古い寛永十六年・寛保三年・寛延元年の三基も、やはり女性のものである。この並びから、十八世紀の半ばごろにこの家の半檀家のありようが、生家を継ぐ型から男女で寺を固定する型へ移ったことが裏づけられると著者は述べる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。