切れた橋の先から来た足音
どんな伝承か
新葛西橋ができる前、荒川に旧葛西橋が架かっていたころの話である。望月という女性は、噛み癖のある飼い犬を、人のいない深夜に橋の上で散歩させていた。その夜は霧が濃く月も星もなく、先がまるで見えない。犬の綱を引いてゆっくり歩いていると、前方からぴたぴたと足音が近づき、犬が唸って身構えた。すれ違う位置まで来たので道を譲ろうとしたが、そこには誰もおらず、足音だけがすれ違っていった。怖くなって引き返したが、後で聞くと、橋は引き返した地点で切れていて、その先は無かった。一歩でも進めば川へ落ちていたはずだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・幽霊・怪異体験・昭和)