旧名主の家が分家で解いた半檀家
どんな伝承か
天津の男女別半檀家制は明治以後に急速に消え、今ではそうした制度があったことを知る古老もごく少ない。著者が聞き得たのは、一八八三年生まれの老婦人の話だけで、若い頃、旧名主の富川家にこの制度があったという。同家では女子が日蓮宗日澄寺、男子が天台宗万福寺の檀家であったが、のちに分家に女寺の日澄寺を与え、本家は万福寺の檀家となることで半檀家を解いたという。著者は、土地の有力な旧家は寺から大事にされるため半檀家を抜け出しにくいこと、分家の際に本家と分家で両寺を分け合って解消することは他でもよく見られると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。