三つに分けて焚くヒトボンの火
どんな伝承か
徳島県那賀郡木頭村の中内では、盆の十四日に庵でヒトボンという火を焚いた。燃料のホデを三か所に分けて置き、一つは新しい仏のため、一つは斎藤別当実盛のため、残る一つは家々の先祖のためとされる。実盛に手向ける火は田畑の害虫を防ぐためのものといわれ、供養する者のない霊を慰める行事の一種とみてよいが、そこに新仏と先祖への供養が重ねて行われている点に特色がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。