笠島多聞寺の三日月塔
どんな伝承か
柏崎市笠島の多聞寺境内には「三日月」と刻む塔がある。天保十三壬寅歳五月の年紀があり、座主として猪爪四良右衛門・近藤九良左衛門の名を刻み、文字の上には大日如来の梵字と日月が彫られている。上輪新田にも明治七年の年紀をもつ同種の塔がある。この三日月塔については一つも聞き書きすることができず、造立の理由すら手掛りがない。淡島講と同じように三日月講という女性の講があって婦人病治癒や子授け、安産を祈ったものか、あるいは月待として三日目の月を拝したものか。三日月の形は眼にも似ることから、漁に大切な眼をわずらった漁師たちが眼病治癒を祈願したものかとも考えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信(柏崎市(編)・柏崎市史)
『柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信』は、柏崎市史の資料集として編まれた民俗篇のうち、第四章「文化伝承」の信仰にかかわる部分を収める。柏崎市域のムラの神社とまつり、雨乞い・虫送りなどの祈願、家の神と屋敷神、民間小祠と路傍の石仏、寺と行事、修験、庚申講や米山講などの講を、聞き書きと「白川風土記」「神社明細帳」などの記録から記す。第六節「俗信」では予兆・占い・禁忌を分類して列挙し、昭和五十八年の熱田神社の年占の結果も載せる。