おびや(産屋)と産所の風習
どんな伝承か
昔は産をするとき、おび屋と呼ばれる産所に入ったという。おび屋はどの村にもあったわけではないが、村はずれの水の便のよい、人のあまり来ない場所が選ばれた。丸木造りの茅葺きで、内部は半分が土間、炊事や火を焚く囲炉裏もあり、産所には茅を敷き、その上に藁を並べて筵を敷いた。産床は一メートル四方ほどの莫座に灰を置き、その上にスペを敷いて座産をした。灰は出産時の汚物が下にこぼれないためで、生まれた後の後産(胎盤)は包んで人の知れない場所に埋めたという。
原典より
古い古い昔のいい伝えによると、お産をするときはおび屋に入ってお産をしたものであるという。—— 河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。