兎は月の申し子
どんな伝承か
野山に住む兎は月の申し子だといわれてきた。月夜になると兎には不思議な力が与えられ、春の野山で捕まえた弱々しい兎の子でも、夜になって月の光がさせば箱から逃げ出してしまう。これはお月様が箱の中から兎を救い出すのだと信じられていた。重い石で押さえておいたのに翌朝には逃げているのを見ると、昔からの言い伝えが本当のように思えたという。また兎は冬になると毛が白く変わるが、中には茶色に変わるものもいて、それはお月様の言いつけを守らない我がままな兎だからだと、山村の子供は親から教えられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。