いぼを癒す清水と爪彫り不動
どんな伝承か
永田の鎮守鷲神社の境内にいぼ清水がある。昔、永田の百姓五郎左衛門の娘おいねは、器量がよく働き者であったが、着物に隠れた部分にいぼがたくさんできていたため、どんな縁談にも応じなかった。おいねが村の鎮守へ丑の刻参りをして二十一日の祈願をこめると、満願の夜に白髪の翁が現れ、境内の松の根元から湧く清水を松の葉につけて撫でよと告げた。明くる朝そのとおりにするといぼは治ったという。また会津西街道の山王茶屋のかたわらには弘法大師が爪で彫ったという不動がある。天長四年六月のころ、山王峠を越えてきた僧が茶屋の婆さまの眼病を憐れみ、独鈷で岩を突いて泉を湧かせ、岩肌に爪先で不動尊を彫って去ったと伝える。
原典より
むかし永田に百姓五郎左衛門の娘でおいねという乙女があった。—— 田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史)
『田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説』は、会津の田島町の町史のうち民俗を扱う巻の、伝説を論じた節である。針生・糸沢・金井沢・折橋などに伝わる岩魚の棲まない沢、ダイタンボウの足跡、弘法清水、竜燈、天狗隠し、河童駒引き、アズキトギなどの伝説を、土地の言葉を交えた語りで載せる。自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分けて動物・地形・地名・人物・幽霊・妖怪変化などの項を立て、各話のあとに伝説の型や会津の類例を論じる。