鶏の鳴き真似で追ったデデンボ
どんな伝承か
針生の北にある愛宕山の麓に舘の下という場所があり、いまは田になっている。人が踏み込むと腰まで沈むほどの泥田で、これはデデンボという大男の足跡だから深いのだと言い伝える。ある夜更け、愛宕山の方角で石を積み上げるような激しい物音がしたが、一番鶏が鳴くとぴたりとやんだ。翌朝行ってみると、城の土台にするらしい大石が運ばれていた。物音は毎夜続いて村人は眠れず、相談のうえ鶏の鳴き真似をして仕事を妨げることにした。皆で一斉に声を上げると、デデンボは驚いて逃げたのか物音は絶え、築きかけの土台石だけが残されたという。
原典より
針生部落の北方に位置する愛宕山の麓に"舘の下"という所があって、今は田んぼになっている。—— 田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説(田島町(編)・田島町史)
『田島町史 第4巻(民俗篇)――伝説』は、会津の田島町の町史のうち民俗を扱う巻の、伝説を論じた節である。針生・糸沢・金井沢・折橋などに伝わる岩魚の棲まない沢、ダイタンボウの足跡、弘法清水、竜燈、天狗隠し、河童駒引き、アズキトギなどの伝説を、土地の言葉を交えた語りで載せる。自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分けて動物・地形・地名・人物・幽霊・妖怪変化などの項を立て、各話のあとに伝説の型や会津の類例を論じる。