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舒明天皇の国見歌に立つ煙

所在地奈良県橿原市(天香久山)
年代伝承(口承)
登場舒明天皇、国見歌の詠み手
出典霊魂の博物誌――原始生命観の体系

どんな伝承か

『万葉集』巻一に、舒明天皇が天の香具山に登って国見をした歌がある。大和には多くの山があるが、香具山に登り立って見渡すと、国の原には煙が立ちのぼり、海原には鷗が飛び交う、よい国だ大和の国は、とうたう。この歌は景色をそのまま詠んだものではなく、国を見渡して実りを祝う国見歌で、霊力を宿すとされた煙や鳥を見ることで命の力を強めるタマフリの意味を持つらしい。ここでいう煙は火を焚いた煙というより、地面から立ちのぼるもやのようなものだろう。ゆらゆら揺れ動くことも、煙が霊魂の姿とみなされた大切な理由だったという。

原典より

この歌は叙景歌ではなく国見歌(望国歌)で、予祝的性格をもち、呪物としての煙や鳥を見ることにより、タマフリ(魂振り)すなわち生命力を強化するもののようである(本章二、第九章三)。—— 霊魂の博物誌――原始生命観の体系(碓井益雄・碓井益雄・民俗学・1982年(昭和57年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

霊魂の博物誌――原始生命観の体系(碓井益雄・碓井益雄・民俗学・1982年(昭和57年))

『霊魂の博物誌――原始生命観の体系』は、動物発生学を専攻した碓井益雄が著し、昭和五十七年に河出書房新社から刊行した書である。原始・古代の人々が霊魂をどう考えたかを、日本と諸外国の神話・民俗・古典・言葉の資料から説き、気息や人魂、風や雲、鳥や昆虫、幽霊や影として現れる霊魂の姿と、内臓・心・感覚器官に宿るとされた霊の座を論じ、屎尿や屁、名前と言霊にも章や節を割く。序章と全九章からなり、各章末に参照文献の注を付す。

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