六地蔵に笠を被せた若者
どんな伝承か
雪の降る年の暮れ、ヤスオは母の織った反物を売りに町へ出た。道すがら、六体の地蔵が頭に重く雪を積んで立っているのを見て気の毒に思い、反物を売った金で笠を六つ買い、帰り道に一つずつ被せ、風で飛ばぬよう顎の下で紐を結んで帰った。何も買わずに戻ったヤスオを母は褒め、二人で火を焚いて眠った。その夜「ヤスオの館どごだ」という声とともに何かを置く音がし、夜が明けると戸口に食べ物が山と積まれ、遠くを六人の地蔵が帰っていくのが見えたという。
原典より
ヤスオという若者と母ぁさまが二人(ふたん)じぇ住んでただど。—— 磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史)
『磐梯町史 民俗編――伝説と昔話』は、会津の磐梯町が編んだ町史の民俗編で、口承文芸の章の「伝説と昔話」の節にあたる部分である。磐梯山を七回り半巻いた大蛇の尾寺、弘法大師の梵字清水、井戸の精が嫁に来る赤枝の話などの伝説と、猿の嫁取り、山姥、笠地蔵、ノッペラボウの度胸ばなしなどの昔話を書きとめる。伝説と昔話の二つに分けて題を付して並べ、昔話は「むかしむかしあったどよ」と始まる土地の言葉の語り口を残す。