薬とヤスリを取り違えた使い
どんな伝承か
隣の父っつぁまが「息子が町へ行くが何か用はないか」と尋ねに来たので、婆さまは年で出歩けないから薬を買ってきてほしいと頼んだ。息子は町から戻り、買い物を広げてみせたが、いくら探しても薬がない。「薬を買ってこなかったのか」と問うと、息子は「そこにヤスリがあるだろう」と言う。「ヤスリではない、薬だ」と言われても、「隣の婆さん、ヤスリと薬ならひと擦りだ。ひと擦りくらい待てばよかろう」と平然と答えたという。
原典より
あのナ、隣の父っつぁまが来ただど。—— 磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史)
『磐梯町史 民俗編――伝説と昔話』は、会津の磐梯町が編んだ町史の民俗編で、口承文芸の章の「伝説と昔話」の節にあたる部分である。磐梯山を七回り半巻いた大蛇の尾寺、弘法大師の梵字清水、井戸の精が嫁に来る赤枝の話などの伝説と、猿の嫁取り、山姥、笠地蔵、ノッペラボウの度胸ばなしなどの昔話を書きとめる。伝説と昔話の二つに分けて題を付して並べ、昔話は「むかしむかしあったどよ」と始まる土地の言葉の語り口を残す。