呼び声を獲物と思い父を撃った男
どんな伝承か
昔、ある所に「ぐず」と呼ばれる息子がいた。鉄砲撃ちに出ても、雉は撃たれれば死ぬから可哀相、山鳥は小さいからと撃たずに帰る。父に「親でも子でも何でも獲ってこい」と言われた日、暗くなっても獲物が出ず、迎えに来た父の「ぐずー」という呼び声を獲物と思い込んで撃ち殺してしまった。葬式の飯を炊く役を頼まれると、煮え立つ鍋が「ぐず、ぐず」と鳴るのを自分を呼ぶ声と思って返事を続け、腹を立てて灰を鍋へ入れた。味噌をすれば和尚の鼻先に味噌を塗り、和尚は寺へ逃げ帰ったという。
原典より
あるところに「ぐず」ってゆう(言う) 息子がいだど(居た)。—— 磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
磐梯町史 民俗編――伝説と昔話(磐梯町(編)・磐梯町史)
『磐梯町史 民俗編――伝説と昔話』は、会津の磐梯町が編んだ町史の民俗編で、口承文芸の章の「伝説と昔話」の節にあたる部分である。磐梯山を七回り半巻いた大蛇の尾寺、弘法大師の梵字清水、井戸の精が嫁に来る赤枝の話などの伝説と、猿の嫁取り、山姥、笠地蔵、ノッペラボウの度胸ばなしなどの昔話を書きとめる。伝説と昔話の二つに分けて題を付して並べ、昔話は「むかしむかしあったどよ」と始まる土地の言葉の語り口を残す。