上和田の左馬(鯖)神社
どんな伝承か
古川氏の「昔の瀬谷」によれば、上和田の神社に左馬神社というのがある。祭神を左馬頭源義朝とするのは後人のこじつけと思われ、この宮は最初鯖大明神と称したのが左馬となったという。同名の神社十一社が今の大和市・藤沢市・横浜市にあるとも記す。『新編相模国風土記稿』は「佐馬明神社、村の鎮守とす、土人の説に左馬頭義朝の霊を祀ると云」と記し、近村で多く鯖と書くのを仮借とするが、鯖の字は仮借ではない。下和田村およびヒッ木村にも鯖明神社が見え、海岸の住民が魚を内陸の産物と交易に行く際に境の神へ魚を供えた風があり、初穂の魚に鯖を用いたことがこの信仰を生んだと考えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄による講述「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げ、藤沢・津久井・平塚などの昔話や笑話、世間話を紹介する。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなり、昔話は本格昔話・派生昔話・笑話の別に沿って類話を並べる。