八幡野村に残った丸木船役
どんな伝承か
大田南畝の『一話一言』には「豆州村々様子大概書」という書上げが載る。その八幡野村の条に丸木船役という税目があり、永二百五十文、昔から船がなくて丸木を刳って乗ったときの引き付けであり今も出している、と記されている。書上げに年月がないので正確な年代はわからないが、『一話一言』は安永から文化にかけての見聞というから、およその時期は見当がつく。少なくとも近世の半ばまで、伊豆の東海岸では丸木船が使われ、それが刳舟の系統のものであったことが、この一行から知れるのである。伊豆は古くから船材に恵まれ、造船の技が発達した土地だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄による講述「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げ、藤沢・津久井・平塚などの昔話や笑話、世間話を紹介する。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなり、昔話は本格昔話・派生昔話・笑話の別に沿って類話を並べる。