山芋をめぐる兄弟と時鳥の鳴き声
どんな伝承か
時鳥の鳴き声の由来を説く「時鳥と兄弟」の話は各地で知られるが、津久井郡栃谷に住んだことのある山岳家、高畑棟材が、栃谷で聞いた形として「山麓通信」に書き残している。この土地では、五月五日の節句に山薬すなわち山芋を食べないと人が蛆虫になってしまうと言い伝えていた。節句が近づいたので兄が山芋を掘ってきて戸棚にしまっておいたところ、翌日には頭と尻尾ばかりが残り、中の良いところが消えていた。弟が盗ったものと思い込んだ兄は出刃庖丁で弟の喉を突き、それゆえその鳥は「オトノドキッチョ」と鳴くのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(神奈川県(県史講座)・神奈川県の歴史・民俗講座)
『神奈川県の歴史 県史講座要録 第6(県下の民俗篇)』所収の伝説と昔話。神奈川県の伝説を、柳田国男の研究を踏まえて論じる。