弟を殺した兄が化した鳥
どんな伝承か
不如帰の啼く声は土地によって異なり、岩手県岩手郡平館あたりでは、ガンクー、オトットコエシ、アッチャトンデッタカの三つに聞くという。昔、二人の兄弟がいた。弟は非常な兄さん思いで、山へ行って芋を取ってくると、一番うまそうなところを兄に食べさせ、自分はいつも端のまずいところを食べていた。しかし邪怪な兄は喜ばず、弟は自分でよいところを食っているに違いないと疑い、殺して腹の中を見てやりたいという一念が嵩じて弟を殺した。腹の中には芋の端のまずいところばかりが入っていた。兄は後悔して血の涙を流して泣くうち、いつの間にか身体に羽が生えて鳥に化けた。卯の花の咲く頃オトットコエシと啼くのはこの鳥である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪談の世界(山田野理夫・1978年(昭和53年))
『怪談の世界』は、山田野理夫が昭和五十三年に著した怪談の研究随筆である。遠野での佐々木喜善と柳田国男の出会いから説き起こし、家・山・木・石・道・水・火に現れる妖怪、憑き物、鬼と天狗、生霊・死霊・幽霊の話を、著者の聞き書きや各地の民俗資料、古典・芝居から集め、沖縄の話で結ぶ。章立ては江馬務と柳田国男の妖怪分類を参考にしたもので、民俗学の資料と文学作品の両面から怪談をとらえようとしている。