蔵の隠したばこを騒ぎで守った利助
どんな伝承か
昔は自分の家で作ったたばこを、どこの家でも隠しておいた。利助という利口者の家でも、六貫目ほどを蔵の二階に隠していた。専売局へ納め終えた後、監事が調べに来て、妻立ち会いで家の中を念入りに捜したが何も出ない。次に蔵を調べにかかったので、裏の畑で仕事をしていた利助は困り、一計を案じた。妻が先に、続いて監事が蔵に入ると、戸を閉めて「たいへんなことになった、どっかのやつが来て家のかかあを蔵の中へ入れている、皆来てくれ」と大声で怒鳴った。監事は言い訳にいっしょうけんめいで、謝って帰り、蔵の二階のたばこは見つけられずに済んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。