女郎屋の翌日に棒だけ引いた若者
どんな伝承か
横野で起こった話である。昔は徴兵検査があり、検査は大磯まで行った。合格してもしなくても、検査が済んだら今日は遊んで来いと親が小遣いを余分にくれるのが常識だった。ある男はまことに丈夫で合格し、金をもらって仲間と大磯の化粧坂の女郎屋へ行き、一杯飲んで遊んで帰った。翌日、ちょうど夏で豆作を引き始めたが、遊んだことが頭に浮かんでうれしくてたまらず、一人でにこにこしながらいっしょうけんめい引いていた。気がつくと道具の先は取れてしまっていて、棒だけを引っ張って歩いていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。