高速道路を自転車で走った頑固者
どんな伝承か
明治生まれで自動車も電車も嫌いな頑固者は、どこへ行くにも自転車だった。ある時、広く滑らかな大通りで速度を上げて走っていると、運転手たちが次々にここを走るなと怒鳴る。自転車だと思って馬鹿にするのか、大きな車がよくて小さな自転車がいけない法があるかと言い返していたが、しばらくしてそこが高速道路だと気づいた。語り手はその息子で、先日の日曜に妻と二人、ずいぶん車の少ない道だと話しながら自転車を走らせ、降りてよく見るとまだ全線開通していない高速道路だった。親子二代の失敗談である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。