山王病院の病室に現れた白い女
どんな伝承か
春のことである。石坂浩二は腎臓を悪くして大森の山王病院に入り、検査を受けていた。冷房のない病室は蒸し暑く、その年の正月にハワイへ持って行ったまま置いてあった鞄からパジャマを出そうと家へ戻る。開けてみると鞄の中だけが妙に温かく、置いてある床は冷たいままだった。そのパジャマを着て病室で眠ったところ、明け方の三時過ぎに息苦しさで目が覚め、枕元に白く大きな女らしい姿が立っている。明かりをつけようと右手を伸ばすと、その手をぐっと掴まれた。左手でスイッチを入れると姿は消えた。もう一度現れたのでパジャマを取り替えると、それきり出なくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。