鷲にさらわれ良弁僧正となった子
どんな伝承か
鷹だか鷲だかが子供をさらい、松に掛けたという話が今泉で語られ、その子供が良弁僧正のことではないかという。文献では、鎌倉由井の里の長者太郎時忠夫婦に授かった赤ん坊が金色の鷲にさらわれ、奈良の覚明上人が楠の大木の下で猿の手から受け取って育てた。子は金鷲童子と名づけられ、のち東大寺の別当良弁僧正となった。三十年後、長者夫婦は脇の下の三つのほくろと錦の産衣を目印に我が子と再会したという。僧正は大山に伽藍を建立し、不動明王を祀ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。