日照りにも涸れぬ弘法の硯水
どんな伝承か
峠の尾根の西側に、弘法の硯水と呼ばれる泉がある。この地を訪れた弘法大師が富士の姿を眺めて物思いにふけり、その水を汲んで経を書いたと言い伝えられてきた。どれほど日照りが続いても、一度も涸れたことがないという。峠にはまた観水と呼ぶ場所もあり、雪の降る晩に女が通りかかると、傘をさした美しい男が立っていて、ふっと消えてしまうと語られた。人ならぬものが姿を見せたのだという。弘法大師はこのあたりの山を越えてきたのだとも伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史・自治体史(民俗))
『秦野市史 別巻 民俗編』所収の妖怪・伝説(一〇〇話を七分類で収載)。神奈川県秦野市に伝わる口承を採録する。