谷底に落ちた使者を弔う上原の馬頭観音
どんな伝承か
秦野市の「東秦野村・村勢史資料」が伝える話。名古木の西沢から上原へ抜ける旧道をたどると、坂を下って藪を背にしたところに、馬頭観音の碑が三つ並んで立っている。今から六百年ほど昔、鎌倉からの使者がこの谷底に落ち、馬の足を折って死んでしまった。三つの碑は、村民がこれを弔って建立したものだといい、つい最近まで念仏供養が続けられていた。碑の立つあたりは、当時は草木が繁茂する難所だったと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。