ナガシ入れで死んだ若衆の舟地蔵
どんな伝承か
下大槻をはじめとする大槻の一帯は、かつて金目川がたびたび氾濫し、年に一、二度は大水に見舞われた。そのたびに人々は、大きな木を切り出して川に入れるナガシという方法で流れの向きを変えたが、この作業にあたっていた若衆が命を落としたことがあった。村ではその供養と、二度と同じ災いが起きないようにとの願いをこめて、天王様すなわち健速神社の境内に舟地蔵を建てたと伝える。文献には、昔の大水で子供が流されて死んだため、再びそうしたことのないように祈って造った地蔵だという別の伝えも載っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。