滝つぼの石を拝んで授かった男の子
どんな伝承か
菩提に子供のない夫婦があり、日ごろから、どうか子供をお授けくださいと神仏に祈っていたが、一向にしるしはなかった。あるとき一人の修験者が通りかかり、この奥にあるお不動様におすがりするがよいと教えた。二人が日参すると、一週間たった夜、大日如来が夢枕に立ち、そのように日参していては仕事ができないだろうから、そばの滝つぼの石を持ち帰り、わたしと思って祈るがよいと告げた。二人が滝つぼの石を一つ持ち帰り、家の庭に立てて拝んだところ、霊験あらたかにも男の子を授かった。その子の生まれた四月十七日を、この土地ではお不動様の祭りの日としている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪(秦野市(編)・秦野市史)
『秦野市史 別巻 民俗編――伝説・妖怪』は、神奈川県秦野市の市史のうち、民俗編の口承の部分を収めたものである。前半には市内で聞き取った動物・神仏・妖怪・人や村に関する話を地区名とともに載せ、河童やセンタク婆さん、グアン婆さんなどの妖怪譚を含む。後半の第四節「伝説」は一テーマ一話の方針で百話を採り、動物・植物、水、石・岩、山・坂・道・畑、塚、祠堂、家・村の七つに分け、既刊の類話を〔文献〕として要約して添える。