米の尽きぬ狐の文福茶釜
どんな伝承か
南原の常慶院に、狐がくれた文福茶釜が寺宝として伝わる。ある晩、住職のもとに狐が現れ、京都の伏見稲荷から位を貰うことになり上京するので、その間、巻物を預かってくれと頼んだ。次の晩から悪狐が手を替え品を替え巻物を横取りに来たが、住職は狐との約束を守り通した。帰ってきた狐は京土産に茶釜を持参し、礼に茶釜踊りを見せるといって中空に張った綱の上で踊ったが、住職がそのおかしさについ吹き出したので狐は綱から落ち、茶釜の蓋はついに見つからなかった。この茶釜は少しの米を入れておくと翌朝には一杯になり、住職は貧しい村人をこの米で救ったともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。