消えた天王川の橋と蛇の背中
どんな伝承か
浅川の大学院の和尚が、隣村の檀家に祈禱を頼まれ、大雨の中を出かけた。帰ろうとすると橋が流されており、村人は引きとめたが、和尚はどうしても戻らねばならない用事があると聞き入れなかった。天王川まで来ると、流されたはずの橋がちゃんと架かっている。ぐらぐらと揺れる橋を渡り終えて振り返ると、橋は跡かたもなく消えていた。浅川の家に戻ると、天王橋が流れたのでどうしたものかと親族衆が集まって心配していた。思い返せばあれは橋ではなく蛇の背中だったようで、和尚はいつか大石にはさまれた蛇を助けたことを思い出したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。