与助沢に出る下男の幽霊
どんな伝承か
古志田には八方屋長者の屋敷跡が残っていた。八ツ棟造りの屋敷を堀が取り囲んでいたことから、その名で呼ばれたという。莫大な財を蓄えた長者は、盗賊が出るという噂を聞いて財宝を壺に納め、下男に担がせて斜平山の麓へ埋めさせた。だが口外を恐れ、与助というその下男を殺して一緒に埋めてしまった。以来そこは与助沢と呼ばれ、夜ごと与助の幽霊が立つと言い伝える。屋敷跡からは、安永年間の巡視で福天餅が、天保年間には永楽通宝を入れた壺が、明治の末には曲げものに納めた開元通宝が掘り出されたと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。