白百合の夢が導いた黄金七つ
どんな伝承か
猪川町の久名畑に稲子沢という旧家があり、この家は昔、十八万石の大名にも比すべき大長者であったという。昔、気仙の日頃市の里にどこからか若い夫婦がやって来て暮らしていた。二人とも正直で気だてがやさしく、里の人々にも愛されていた。ある年の元日の夜、夫婦はまったく同じ夢を見た。ある館の跡に三十三の花をつけた白百合があるから、それを探して根元を掘れば宝物が埋まっているという、日頃信心する神のお告げであった。夫婦は花を尋ねて旅に出て、その年の暮れ近く、胆沢の永岡にある生城寺館にたどりつき、雪の野原に夢と寸分違わぬ百合を見つけた。根元を掘ると黄金の玉が七つ出てきたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。