荒れ家の坪石を貰って長者に
どんな伝承か
ヤマガの喜右衛門の先祖は、もと馬三疋で大迫まで駄賃をつける人であった。ある日、大迫からの帰りに日が暮れ、山合いに構えの大きな家を見つけて宿を乞うた。家は構えばかりは大きいがひどく古く荒れ果てており、婆様が一人いて心よく泊めてくれた。それからはその家を宿にして大迫との往還をした。ある時、広い坪前を眺めていると変わった形の石があった。婆様に尋ねると、何代前から伝わった石か知らないが、自分の若い時分までは三つ重なっていた、それが一番上の石が失せ、先年二つ目も見えなくなった、欲しければ持って行ってよいという。喜右衛門は喜んで石を馬につけて持ち帰り、その石が土台となって長者になった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。