死に際を安らげるころり薬師の水
どんな伝承か
死にぎわの人は水を欲しがるものとされ、病人が水を求めはじめると死が近い証しだとして、これを願い水と呼ぶ土地がある。米沢市関根の普門院にあるころり薬師の水は名高く、福島の方からも参る人が絶えなかった。この水を口にすると、助かる者は丈夫になり、死を迎える者は苦しまずに息を引き取れるという。本尊は石折戸の錦堂薬師で、そこから湧く水は清らかで冷たく、まさに願い水にふさわしいと語られてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。