周元通宝を飲んだお島御前の子授け
どんな伝承か
昔、蜂屋の島の洞という所にお島御前という女性が暮らしていた。子に恵まれず、長いあいだ子を望んでいた御前は、小山の観音に願をかけ、二十一日のあいだ飛騨川の向こう岸の崖の上に花を立てて祈りつづけた。花を立てて拝んだので、その場所はハナタテと呼ばれるようになった。満願の夜、まどろむ御前の前に白いひげの老人が現れ、これを飲めと銅銭を一枚渡して煙のように消えた。目覚めると手に周元通宝という古銭を握っており、言われたとおり飲み込むとほどなく身ごもって男の子を産んだ。赤子は左手を握ったまま開かなかったが、七日目に開くと掌にあの周元通宝が載っていた。この子が長じて瑞林寺を開いた仁済和尚だという。
原典より
掌の中にはお島御前が飲みこんだ周元通宝が乗っていたという。—— 美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。