真夜中に上流から呼ぶヤロカ水
どんな伝承か
木曽川は昔からしばしばあふれ、太田の町並みに水が押し寄せることが多かった。ある年、雨が降りつづいて川が増水したので、太田の人々が心配して岸から様子をうかがっていると、真夜中に上流のほうから「ヤロカ、ヤロカ」と呼ぶ声がした。気味が悪くて皆が黙っていても、声は何度もしつこく繰り返す。とうとう一人が「イコサバイコセ」と叫び返すと、言い終わるか終わらないうちに大木を押し流すほどの水が襲ってきて、太田の町並みはすっかり水に浸かってしまった。この出水をヤロカ水と呼んでいる。
原典より
ある年、大雨が降りつづいて木曽川の水が増してきたので、太田の人は心配して川岸で水のようすを見ていると、真夜中に上流の方で「ヤロカく」と呼ぶ声がする。—— 美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。