山の神の石楠花を取って気がふれる
どんな伝承か
住居附では、神の木に手を出して正気を失った話が伝わる。山の神に供えて植えてあった石楠花を、拝んでから持ち帰った人がいた。すると五尺四方もある大きな石楠花がみるみる縮み、持ち帰った人は気が狂ってしまったという。別の聞き取りでは、稲含の山の神に上げてあった石楠花を抜いてきた者が気がふれたとされる。天狗様の杉を伐った者も、伐り分けを終えないうちに気がふれたという。山の神は女で執念深く、その祟りは恐ろしいといわれる。
原典より
山の神にあげて植えてあった石楠花を拝んでもってきたら五尺四方もある大石楠花もだんくちどまった。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書)
『群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異』は、上野村で行われた民俗調査の報告のうち、聞書と俗信の部分を収めたものである。川和・住居附・野栗・奥名郷・勝山・野栗沢などで聞いた講、病気の呪い、雨乞い、禁忌と兆、山の神とオコジョ、オサキや狐つき、狐やむじなに化かされた話、一ツ目入道や山姥を、話者や部落名を添えて記す。上野勇の聞書と、昭和二十三年に東部の部落を調べた関口正の報告が入り、井田安雄の「乙父の民俗」は書き出しだけが載る。