十五夜の餅を取り損ねた兎
どんな伝承か
昔、ある所に欲の深い兎とやさしい蟹がいた。十五夜の晩、良い晩だから高い山で餅を搗いて食おうということになり、二人で一生懸命に餅を搗いた。ところが兎は餅を独り占めしようと考え、臼を高い山から転がして、先に着いたほうが食おうと言い出す。臼の尻について谷底まで跳んでいった兎が中をのぞくと臼は空で、途中で落ちた餅は坂の半ばで蟹が拾って食べていた。兎は羨ましがったが、蟹は「どちらから食おうとお構いなさるな」と言って食べ、欲の深い兎はとうとう餅を食えなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史・自治体史(民俗))
『船引町史 民俗編』第十一章所収の昔話と伝説。福島県船引町(現田村市)に伝わる口承を採録する。