和尚が教えた燧石と燧坂
どんな伝承か
大字横道に盤坂という坂道がある。昔この坂に一人の老婆が住んでいた。あるとき旅の和尚を一夜泊めたところ、翌朝はひどく寒く、炉の火がなかなかおこらずに老婆は困り果てた。それを見た和尚は自分の持っていた白い石を取り出し、その石で火をおこす法を教えたという。石は燧石で、この場所からもいくらでも採れたことから、以来ここを燧坂と呼ぶようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
船引町史 民俗編――昔話と伝説(船引町(編)・船引町史)
『船引町史 民俗編――昔話と伝説』は、船引町が編んだ町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。昭和五十三年春から町内を回って集めた昔話を話者の名を添えて土地の言葉のまま載せ、坂上田村麻呂や安倍貞任にまつわる地名・社寺の由来など町内の伝説を併せて記す。第一節では語り収めの句、葉煙草ののし作業を語りの座とした伝承の環境、語り手の系譜を論じ、第二節では伝説を自然・歴史・宗教の三つに分けて紹介する。