夕暮れに子をさらうカクレジョッコ
どんな伝承か
夕方、まだ日が落ちきらず物の見分けがつかなくなる刻限を、昔の人はタソカレ時、逢魔刻と呼んだ。目から来る不安定は心の不安を伴うから、この時刻はあやしげなものどもがはびこり歩き回る悪い時分と一様に感じられていた。だから子供がこんな時分まで外で遊びほうけていると、天狗にさらわれたり隠し神にかくされたりするといって親たちは強く警戒した。夕方に子供を誘って行く怪物を多くの地方ではカクシ神と呼び、沖縄ではモノマヨヒ、栃木県の鹿沼地方ではカクシンボ、秋田の雄勝郡ではカクレジョッコ、神戸市ではカクレババ、島根県ではコトリゾと呼んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。