畑も墓も許されなかった宮島の禁忌
どんな伝承か
広島県の宮島は、女人を寄せつけない山々とは違って女も住むことのできる島だったが、畑を切り開くことも、墓を建てることも許されないとされてきた。それほど古い禁忌の守られてきた島にさえ、戦争が終わると開拓者が入り込み、農地を開くようになったという。岩木山が戦時中に女の登山を許したのと並べて、古い禁忌がゆるんでいった例として語られている。
原典より
女は住むが畑もひらかれず、また墓もたてられぬとされていた広島県の宮島にすら、戦後は開拓者がはいって農地をひらくようになってきた。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。