けが人を助けて贈られた兜
どんな伝承か
柴田勝家が北陸道の大改修を進めていたころの話である。ある夜、馬に乗った武士が工事中の道で大けがを負い、身動きが取れなくなった。通りかかった老夫婦が見つけて家へ連れ帰り、手厚く世話をしたので、武士はやがて元気を取り戻した。礼をしたいが金は持たず、馬や刀を残すわけにもいかない。思案の末、武士は大切にしていた自分の兜を夫婦に渡して去った。夫婦は武将にふさわしい立派な作りのその兜を大事にしまい、家の屋号も兜家と改めたという。兜は明治の末ごろまで家宝として伝えられていた。
原典より
天正の昔、柴田勝家が北陸道の大改修を行なった時のこと、ある夜、一人の騎馬の武士が、改修中の道路で大けがをして動けなくなった。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。